
はじめに
ダイナミックプライシングに関する基本的な記事を前回はお届けしましたが、
今回はそれにも関係するともいえる「一物多価」について詳しく解説します。
この記事では、「一物多価とは何か?」という定義の部分から、
収益最大化につながる価格設定の仕組みまで、分かりやすく紹介していきます。
この記事でわかること
・ダイナミックプライシングと「一物多価」の基本概念
・固定価格と変動価格(多価格)の収益差
・一物多価が収益を最大化する仕組み
・ホテル・EC・サブスクなどでの活用事例
ダイナミックプライシングと一物多価とは?
価格戦略を考える上で重要な概念に「一物一価」という法則があります。
これは、「1つの商品には、1つの価格しか存在しない」という考え方です。
現在でも多くの商品がこの方法で価格設定されています。
一方で、この考え方から派生した以下のような戦略も存在します:
概念 | 内容 | 例 |
---|---|---|
一物一価 | 1つの商品に1つの価格 | コンビニの飲料など |
多物一価 | 複数の商品を1つの価格で提供 | Netflixの定額配信 |
一物多価 | 1つの商品を複数の価格で販売 | 航空券、ホテル、EC商品など |
この「一物多価」を実現する代表的な手法のひとつが、ダイナミックプライシングです。
需要やタイミングに応じて価格を変動させることで、収益の最適化を図る価格戦略となります。
一物多価とは
「一物多価(いちぶつたか)」とは、1つの商品に複数の価格を設定することを意味します。
同じ商品でも、購入する顧客や販売タイミングによって価格が異なるという考え方です。
▼ 一物多価の具体例
・ホテルの宿泊費が曜日や季節によって変わる
・航空券が空席状況に応じて価格が変動する
・ECサイトでクーポンを使ったときに価格が下がる
ダイナミックプライシングとの関係は?
「ダイナミックプライシング」は、この「一物多価」をリアルタイムかつ自動的に実現するための手段となります。
AIやアルゴリズムを活用し、需要や在庫、競合動向、天気、周辺イベントなどのデータを元に、価格を変動させるのが特徴です。
一物多価で収益が増える仕組みとは?
「一物多価」を導入することで、なぜ収益が増加するのか?
以下のシンプルな例で解説します。
■ 固定価格の場合
価格が「8」だと、販売できた数が「8」になった場合、収益は「64」となります。
(計算式)
・価格:8
・販売数量:8
・収益:8 × 8 = 64
価格 | 数量 | 収益 |
---|---|---|
8 | 8 | 64 |
■ 一物多価を適用した場合
「一物多価」の考え方を用いると、
ターゲットによって、同じものでも、下記のような価格のパターンを設けることになるので、
結果的に、販売数量と収益の両方の増加が見込めます。
・価格高価格帯(12):利益率の高い層を取り込み、単価アップに成功
・通常価格帯(8):従来の顧客も引き続き購入
・低価格帯(4):価格に敏感な新規層を獲得し、販売数を拡大
価格 | 販売数 | 収益 |
---|---|---|
12 | 4 | 48 |
8 | 4 | 32 |
4 | 4 | 16 |
12 | 96 |
収益差:96(多価の場合) − 64(一価の場合)= +32の増加!
このように、価格に幅を持たせることで、
異なるニーズを取り込み、結果として販売数量と収益の最大化が可能になるという考え方です。
一物多価が活用される主な業界
「一物多価」や「ダイナミックプライシング」は、さまざまな業界ですでに活用されています。
以下はその代表的な例です。
ホテル・観光業
・曜日・季節・予約のタイミングによって宿泊料金を変動
・稼働率を調整しつつ、収益の最大化を実現あ
ECサイト・D2C
・セールやクーポンによる価格変動
・顧客の価格感度に合わせて販売機会を最適化
サブスクリプションサービス
・複数プラン(ライト・スタンダード・プレミアム)による段階価格設定
・顧客単価を引き上げることが可能
飲食・イベント・チケット販売
・混雑状況や日時に応じた価格設定
・需要の分散(ピーク回避)と稼働率向上に効果あり
まとめ:価格を「戦略」に変える時代へ
「一物多価」や「ダイナミックプライシング」は、従来の「一物一価」から脱却し、
価格を柔軟に設計することで売上と利益の最大化を実現できる戦略といえるでしょう。
特に以下のような課題を感じている企業様におすすめです:
価格競争で利益が圧迫されている
販売機会のロスを減らしたい
より多様な顧客層にアプローチしたい
価格は売上や販売個数を左右する“レバー”です。
日々変動する需要の変化に合わせて、最適な価格を戦略的に設計すれば、
事業成長への大きなエンジンとなるでしょう。
おわりに
データドリブンな最適価格での販売は、
収益増加につながり、企業様の継続的な成長・存続するための重要な要素です。
ダイナミックプラスでは、AIによる最適価格のご提案により、
価格競争の激しい宿泊・グランピング業界の企業様のさまざまな課題に対してサポートしてまいります。
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