
はじめに|施設が抱える「稼働率の波」、読めていますか
「売上は悪くないのに、利益がなぜか安定しない」
「忙しい日とそうでない日の差が激しく、現場が混乱する」
こうした悩みの背景には、稼働率の波=ばらつきが潜んでいるケースが少なくありません。
近年ではインバウンド需要の増加に加え、イベントの集中や旅行スタイルの多様化も相まって、需要の波はより一層読みづらくなっています。ただ、こうした変動を“どうにもならないもの”として放置するのは、もったいない話です。
需要を見える化し、事前に打てる手を戦略として備えることで、稼働の安定化は十分に実現できます。
この記事では、稼働率のばらつきが起きる原因と、それを解決に導く手段としてのレベニューマネジメントシステム(RMS)の活用方法をご紹介します。
稼働率のばらつきがもたらす経営リスクとは
稼働が不安定な状態は、ただの「忙しさの差」では済みません。
運営にも収益にも、見逃せない影響を及ぼします。
「読めない」「回らない」「儲からない」──現場でも経営でもよく耳にするこの3拍子。
その多くは、稼働の乱れから始まります。
<主な経営リスク>
売上の予測が難しくなり、経営判断がぶれる
人員配置や清掃計画に無駄が生じ、現場の効率が低下
閑散日は値下げ圧力が強まり、利益率を圧迫
繁忙日に販売機会を逃し、収益UPのチャンスを取りこぼす
価格設定や施策の判断が担当者任せとなり、属人化が進行
なぜ稼働率にばらつきが出るのか?3つの主な要因
稼働のばらつきは、外的要因だけが原因ではありません。
内部の「見落とし」や「後手の対応」が招いていることも多いのです。
<3つの主な要因>
1、過去実績やルールだけに頼った価格設定
前年の実績や近隣ホテルの動きだけで価格を決めていては、需要の変化に完璧に対応することは難しいです。
さらに、競合の動きを逐一ウォッチして対応し続けることも現実的ではありません。
2、平日・閑散期向けの販促戦略が弱い
週末や繁忙期に比べて、平日やオフシーズンへの対策は後回しになりがち。
結果、稼働が極端に落ち込む事態にも。
3、地域需要や競合の変化に反応できていない
急なイベント開催や競合の価格変更に気づくのが遅れ、機会損失につながっているケースも少なくありません。
対応の鍵は“見える化”と“仕組み化”─RMS(レベニューマネジメントシステム)
安定した稼働を実現するには、属人的な判断ではなく、データに基づく仕組みが必要です。
その実現を支えるのが、RMS(Revenue Management System)なのです。
RMSは、感覚に頼らず、データで戦略を組み立てるための頭脳のような存在。
予測、価格設定、施策管理を支援する、ホテル経営における“戦略ツール”です。
RMSで実現できることと、導入による変化
RMSを導入することで、日々のレベニュー業務における意思決定のスピードが変わり、
属人的だった運営が、戦略的かつ再現性の高いものへと進化していきます。
◼️実現できること
・需要予測:過去の予約・販売実績の傾向や地域イベントをもとに、先々の動きを可視化
・価格最適化:在庫・需要・競合状況から導き出す、自動の価格提案
・KPIの可視化:稼働率・ADR・RevPARといった重要指標をリアルタイムで把握
・異常アラート:予約急増やキャンセル急増に対応を促す通知機能
◼️RMS導入によって起きる変化
・平日・閑散期の稼働率が底上げされる
・高需要日の価格調整が的確になり、利益を最大化
・担当者に依存しない、標準化された運用体制が築かれる
・データに基づくPDCAが可能になり、施策のスピードと精度が上がる
※「RMS」といっても、製品ごとにプロダクトや特性が大きく異なるので、
導入前に、しっかりとしたヒアリングをすることをおすすめいたします。
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稼働を安定させるための2つの戦略アプローチ
RMSは「入れて終わり」ではありません。
データをどう使い、どう戦略に落とし込むかが成否を分けます。
◼️アプローチ①:平日・閑散期の底上げ
需要が弱い日を狙って、早めに打ち手を仕込む。ここで差がつきます。
予測データをもとに、早期販促やプランを投入
・値下げではなく、「法人向け」「長期滞在型」「付加価値プラン」で需要を創出
・平日ニーズに合ったターゲティングで、空室の無駄を減らす
◼️アプローチ②:繁忙期・イベント日の収益最大化
「混んでるから稼げる」ではなく、「混んでるからこそ稼ぎ切る」が重要です。
・高需要日を把握し、価格を適正に引き上げて単価を最大化
・OTA・自社予約のチャネル配分を最適化し、利益率を高める
RevPAR(1室あたり収益)を意識すべき理由
稼働率が高いのに利益が出ない──その背景にあるのが、RevPARの低下です。
|客室稼働率にばかり目を向けていると、単価を下げすぎて収益を落とすリスクがある。
|その指標となるのが「RevPAR(客室1室あたり収益)」です。
RMSを使えば、稼働率・ADR(平均客室単価)・RevPARをまとめて可視化し、稼働と単価のバランスを最適化することが可能です。
「D+」では、「RevPARの最大化」をゴールに見据えて、日々の客室料金の最適化を行っています!

まとめ|稼働の安定は「仕組み」でつくる
稼働のばらつきは、避けられない宿命ではありません。
データの見える化と戦略的な仕組みを導入すれば、予測し、整え、利益につなげていくことができます。
属人的な判断から脱却し、数値に裏打ちされた戦略経営へ。
その起点となるのが、レベニューマネジメントシステム(RMS)です。