
はじめに

複数のホテルを運営する企業にとって、レベニューマネジメント業務の効率化と品質の平準化は、重要な経営テーマのひとつです。阪急阪神ホテルズ様でも、各施設の予約動向や販売チャネル、ブッキングカーブなどを確認しながら、人の手で細やかな料金コントロールを行ってきました。
一方で、その運用には多くの時間と労力がかかっており、将来的な労働人口の減少も見据えるなかで、省人化は避けて通れない課題になっていました。こうした背景から、阪急阪神ホテルズ様は東京・大阪の2施設で「D+」のトライアルを実施。その結果を踏まえ、本導入を決定しました。
今回は、導入前の課題やトライアルで得られた手応え、本導入の決め手、今後の期待などについて、阪急阪神ホテルズの海老名様に伺いました。
【お話をお伺いした方】

株式会社阪急阪神ホテルズ
レベニューマネジメント(東日本)担当
海老名様
人の手による料金コントロールに大きな負荷。
省人化は喫緊の課題だった

阪急阪神ホテルズ様では、東日本で6施設、西日本で10施設(2026年4月時点)を展開しており、それぞれをレベニューマネジメント担当者が分担して管理しています。先々の販売を行うなかで、各担当者は予約の動きや流入チャネル、ブッキングカーブ、予算に対する進捗などを確認しながら、日々レベニューコントロールを行っていました。
しかし、その運用には大きな負荷がかかっていました。料金を変更するためには、まず判断材料となるさまざまなデータを集める必要があり、施設の規模や特性によっては、その下準備だけでかなりの時間を要していたといいます。部屋タイプが多い施設や販売チャネルが多い施設ほど確認すべき情報も増え、業務負荷はさらに大きくなります。
「半年先、一年先まで、人の手で予約の動きや販売状況を見ながら料金を変えていく必要があり、そこにかなりの時間や労力がかかっていました」と海老名様。
また、室数の多い施設では団体客への対応も発生するため、客室数が少なく団体客の少ない施設とは異なる作業も必要となります。担当する施設によって業務の複雑さや作業量に差が出る点も、現場にとっては悩みのひとつでした。
加えて、宿泊業界全体で人手不足が進むなか、将来的な労働人口の減少も見据える必要がありました。こうした状況から、阪急阪神ホテルズ様では、レベニューマネジメント業務の省人化を進める必要があると考えていたそうです。
運用の継続性や組織としてのチェック体制を意識するも、
人による個人差は避けられなかった
阪急阪神ホテルズ様では、拠点ごとに定めた販売方針のもと、レベニューマネジメントの担当者が、これまでのルールや実績を踏まえながら価格コントロールを行ってきました。担当変更があっても、前任者のやり方を踏襲するなど、運用の継続性や一定の再現性は意識されていたといいます。
ただ、それでも最終的な判断には人の感覚や経験が入りやすく、完全に平準化することは難しかったそうです。組織としてチェック体制を整え、個人差が大きく出ないようにカバーしていた一方で、最後の判断の部分ではどうしても担当者ごとの違いが生まれる余地がありました。
海老名様も、「大きな方針は変わらなくても、最後の意思決定において経験や勘に頼ることはありました」と振り返ります。
これまでの運用を大きく損なうほどではないものの、今後の人手不足や業務効率化を考えると、こうした属人性は見直すべきテーマとして認識されていました。
複数の要素を踏まえた価格算出と、根拠の見える設計が決め手に。
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阪急阪神ホテルズ様では、「D+」以前にも別のレベニューマネジメントツールを検討したことがありました。しかし、そのなかには競合施設の値動きに引っ張られすぎるものや、特定のマーケットだけを見て価格が動いているように感じられるものもあったといいます。
また、AIによる価格算出そのものに対しても、「なぜその価格になるのか」がブラックボックス化しており、見えにくいことに懸念がありました。価格を上げる、あるいは下げる以上、現場としては一定の根拠や納得感が必要です。
「ブラックボックス化されていないAIであることが、システム導入の大前提でした」と海老名様は語ります。
その点で「D+」は、過去の販売実績だけでなく、需要の強さや競合の値動き、近隣イベント、ブッキングカーブなど、さまざまな要素を複合的に見て価格を算出している印象があったそうです。特定の要素だけに反応するのではなく、総合的に判断していると感じられたことが、トライアル実施のあと押しになりました。
さらに、価格変動の背景について質問した際にも、カスタマーサクセスを通じて明確な回答が得られたことが安心感につながりました。単に価格を提示するだけでなく、その考え方について対話できる点も、現場にとっては大きなポイントだったようです。
東西1施設ずつでトライアル。
まず感じたのは「違和感がない」ことだった。
トライアルでは、東日本・西日本でそれぞれ1施設ずつをパイロット施設として選定し、実際の運用のなかで「D+」の動きを半年ほど確認しました。料金設定の傾向やコントロール状況を見ながら、現場で使っていけるシステムかどうかを検証していったといいます。
そのなかで、まず大きかったのが、人が行うレベニューマネジメントと比べても違和感が少なかったことでした。
「比較的、人がレベニューマネジメントを行う上で、とくに違和感も感じなかったですし、想定外な動きをしないという印象がありました」と海老名様。
レベニューマネジメントシステムは、数字の上で正しそうに見えても、実運用の感覚と大きくずれると現場で使い続けるのが難しくなります。その点で「D+」は、過度に競合に追随したり、特定の要素だけで大きく価格を動かしたりする印象がなく、実務に乗せたときの納得感があったようです。
また、人手によるコントロールと比べると、「D+」はより積極的に料金変更を行う傾向があると感じた一方で、これまでの運用から大きく逸脱するような印象はなかったといいます。実際、導入後の価格変動についても、お客様から特段の反応はなかったそうです。
補助的な活用でも、意思決定のスピードに変化が見えた。
現時点では、料金コントロールのすべてをシステムに任せる運用にはしておらず、「D+」が提示する先々の料金提案を参考にしながら、早い段階でマーケットの動きを確認するための補助的なツールとして活用しているとのことです。
そのため、トライアル段階で「D+」を中心とした業務フロー全体の見直しまで進んでいるわけではなく、業務の省人化といった成果がすでに数値として表れている段階ではありません。ただ、現場での意思決定のスピードには変化を感じているといいます。
また、人の手で行う場合と比べ、システムが算出した価格には感覚や経験が入りにくく、「合理的な価格」が出る点も印象に残ったそうです。
「D+」のブースト機能についても、実務のなかで有効性を感じているといいます。たとえば、レベニュー担当者が不在のタイミングで、集客が見込まれるコンサートなどのイベント開催が決まった場合でも、自動的に料金を引き上げることができるため、機会損失の防止につながっているとのことです。
今後は、当初の課題であった「リサーチの手間削減」や「省人化」につなげていくことを目指しており、将来的には労働人口が減少したときでも業務の質を落とさない環境づくりを目指したいとのことでした。
本導入の決め手は、「他施設にも展開できる」と判断できたこと。

パイロットとして導入したのは、「レム」ブランドのホテルです。このブランドは東西で複数施設を展開しており、まず最初に導入した2施設で一定の手応えを得られたことで、同じタイプの他施設にも展開できる可能性が見えてきました。
海老名様は、「最初に導入した2施設でうまくいきそうだという感触があり、同じタイプのホテルにも展開できそうだと判断しました」と話します。
試験導入を通じて、過去実績や在庫状況をベースにした料金提案が、人手によるコントロールと比べても大きな違和感のないものであることを確認できたことは、本導入の大きな理由になりました。
加えて、導入までの過程で出てきた改善要望や運用面の相談に対して、柔軟かつ迅速に対応してもらえたことも評価につながりました。システムそのものの考え方に加え、実際の運用に合わせて伴走してくれる姿勢も含めて、安心して本導入に踏み切れたようです。
導入時に懸念していたのは、
競合への過度な追随と説明しづらい価格変動。
導入前に特に気になっていたのは、過去に他システムで感じたような、競合ホテルの価格に引っ張られすぎる挙動が出ないかどうかでした。近隣施設の価格変動に過敏に反応してしまうと、自社の販売戦略に合わない動きになる可能性もあるためです。
その点について「D+」は、複数の要素をもとに価格を算出していることから、特定の指標だけに左右されるのではなく、全体としてバランスの取れたコントロールになっていると感じられたそうです。
また、ブラックボックスではないとはいえ、提示される根拠が実務上わかりにくいものにならないかという不安も当初はありました。しかし、打ち合わせや振り返りの場で一つひとつ確認を重ねるなかで、その不安は徐々に解消されていったと海老名様はいいます。
今後は省人化に加え、より実務に即した進化にも期待 。
今後については、まず足元のテーマとして「省力化」「省人化」をさらに進めていきたい考えです。そのうえで、阪急阪神ホテルズ様が「D+」に期待しているのは、単なる料金算出にとどまらない進化です。
たとえば、OTAでのプロモーションや自社キャンペーンといった販売促進施策、ホテルごとの売上予算に対する進捗、予実管理なども踏まえながら、より実務に即したレベニューコントロールを支援する仕組みへと発展していくことを期待しています。また、サイトコントロールシステムとの連携だけでなく、PMSとの連携にも期待が寄せられていました。
「まずは足元の省力化、省人化にしっかり取り組んでいきたい。そのうえで、今後もコミュニケーションを重ねながら、使い勝手や機能の改善を一つずつ進めていければと思っています」と海老名様。
トライアルから本導入へと進んだ今回の取り組みは、単なるシステム導入ではなく、人の経験を活かしながら、より持続可能なレベニューマネジメント体制を築いていくための一歩となりました。
おわりに
今回は、株式会社阪急阪神ホテルズ様の海老名様に
導入前の課題や導入の決め手、その後の変化や効果、今後弊社に期待することなどを伺いました。
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