宿泊業界向けレベニューマネジメントシステム|Dynamic Plus『D+』

宿泊業界におけるレベニューツールの選び方|4つのタイプと3つの判断軸

はじめに|なぜRMSは「比較しても決めきれない」のか

宿泊施設向けのレベニューマネジメントツール(以下、RMS)を調べてみると、多くのサービスが存在し、それぞれが高度な機能やサービス、AIの活用などを打ち出しています。

一方で、比較を進めるほど「結局どれを選べばいいのか分からない」と感じる方も少なくありません。

これは、RMSそのものが難しいからというより、選び方の前提が整理されないまま比較が始まってしまうことが大きな要因です。

機能や価格を並べて見ても判断しきれないのは、ある意味では自然な反応と言えるでしょう。

本記事では、宿泊施設向けセミナーで解説された内容をもとに、RMSを検討する際に整理しておきたい考え方を、順を追って見ていきます。

特定のツールを勧めるのではなく、「自分たちの施設にはどの考え方が合いそうか」を判断するためのヒントを持ち帰っていただくことが目的です。

宿泊施設のレベニュー業務は、なぜ負荷が高くなりやすいのか

RMSの検討に至る背景には、日々のレベニュー業務が抱える負荷があります。

まずは、多くの宿泊施設で共通する業務内容を整理してみましょう。

レベニュー業務の主な内容

レベニュー業務の主な内容

・予約状況や稼働率の確認
・周辺イベントや需要動向の把握
・競合施設の価格調査
・価格の入力・更新作業
・販売後の効果検証やレポート作成

どれも売上に直結する重要な業務ですが、これらを日常業務と並行して行うとなると、負荷は小さくありません。

とくに、少人数で運営している宿泊施設ほど、その影響は大きくなりがちです。

現場・経営の双方でよく聞かれる課題

現場・経営の双方でよく聞かれる課題

こうした状態が続くと、業務を回すこと自体が目的化し、本来目指すべき「売上の最適化」から距離が生まれてしまいます。

RMSは、そのギャップを埋める選択肢のひとつとして検討されるようになっています。

レベニューツールは、大きく4タイプに分けて考えてみる

レベニューツールは、大きく4タイプに分けて考えてみる

RMSを調べ始めた段階では、「どれも似たようなことをしている」と感じるかもしれません。

ただ、実際にはツールごとに前提としている考え方や役割には違いがあります。

ここでは、RMSを考え方の違いから4つのタイプに整理します。

① 周辺情報の収集を自動化するタイプ

このタイプは、価格を最終的に決めるのは人であることを前提に、情報収集の負担を軽減することに重きを置いたツールです。

競合施設の価格や周辺イベント情報などを自動で集めることで、担当者は分析や判断により多くの時間を割けるようになります。

人の判断を残しつつ運用したい宿泊施設や、担当者の育成を重視したい場合に向いている考え方です。

② 推奨ランク(価格)を提示するタイプ

AIやシステムが推奨価格を算出し、それを参考にしながら最終判断を人が行うタイプです。

価格決定のたたきとなる指標が示されるため、経験の浅い担当者にとっても判断の拠り所を持ちやすくなります。

すべてをシステムに任せることに不安がある場合の、現実的な選択肢と言えるでしょう。

③ ルール式で価格を自動化するタイプ

自社で培ってきた運用ノウハウをルール化し、その条件に沿って価格を動かすタイプです。

稼働率や残室数、宿泊日までの日数などを基準に設定することで、一定の成果が出ている運用を再現しやすくなります。

一方で、突発的なイベントや急な需要変化には対応しにくい側面もあります。

④ 価格更新まで完全に自動化するタイプ

需要予測から価格更新までを、AIが一気通貫で担うタイプです。時間帯を問わず24時間稼働するため、深夜や休日であっても価格調整が止まることはありません。

日々の細かなレベニューコントロールから解放されることで、担当者は運用全体を俯瞰して管理する立場に回りやすくなります。また、省力化によって生まれた時間を、たとえば目の前のお客様への対応や現場改善に充てることで、顧客満足度の向上だけでなく、従業員の働きやすさや満足度の向上につながるケースもあります。

業務効率や運用の平準化を重視する宿泊施設にとっては、現実的な選択肢のひとつと言えるでしょう。

RMS選定で整理しておきたい3つの視点

RMS選定で整理しておきたい3つの視点

RMSを検討する際、いきなり機能比較から入ると、判断が難しくなりがちです。

その前に、次の3つの視点を整理しておくと検討が進めやすくなります。

視点① 方針|自社は何を解決したいのか

視点1 方針|自社は何を解決したいのか

まず考えるべきなのは、「なぜRMSを導入したいのか」という点です。

・業務負荷を軽減したいのか
・属人化を解消したいのか
・人の判断を残しつつ、精度を高めたいのか

ここが曖昧なまま導入すると、「ツール自体は悪くないが、使いこなせない」という状況になりやすくなります。

視点② 値付け|人とシステムの役割分担

視点2 値付け|人とシステムの役割分担

次に整理したいのが、値付けにおける人とシステムの線引きです。

・最終判断を人が行うのか
・初期の価格設定からシステムに任せるのか

人主導の運用は柔軟に対応しやすい反面、担当者の負荷が集中しがちです。

システム主導の運用は効率的ですが、考え方の違いに慣れるまで時間がかかることもあります。

視点③ 算出方法|どのデータを、どう使っているのか

視点3 算出方法|どのデータを、どう使っているのか

同じ「AI」や「需要予測」を掲げていても、価格算出の考え方や使っているデータはサービスごとに異なります。

・過去の販売実績
・競合施設の価格推移
・周辺イベントの情報
・季節性や繁忙期・閑散期の違い

どの情報を重視し、どのように価格に反映しているのか。

ここを理解しないまま導入すると、「なぜこの価格になるのか分からない」という違和感が残ることもあります。

PMS連携は必須なのか?よくある誤解

RMSを検討する中で、よく挙がる質問のひとつが「PMSと連携できますか?」というものです。

結論から言うと、PMS連携は必ずしも必須ではありません。

たとえば、予約の大半がOTA経由である施設の場合は、サイトコントローラー経由の在庫や価格情報を中心に運用できるため、PMSと連携する必要がないと言えます。

PMS連携が有効になるケース

一方で、次のような場合にはPMS連携が選択肢に入ります。

・団体予約を含めた施設全体の稼働率を価格に反映したい
・実在庫と販売在庫の差分が大きい
・施設全体の実績を一元的に把握したい

自社の運用方針や目的に応じて、段階的に検討するのが現実的です。

ダイナミックプラス株式会社のレベニューマネジメントシステム
『D+(ディープラス)』

まとめ|「正解のRMS」ではなく「自社に合うRMS」を選ぶ

まとめ

レベニューマネジメントツールに、すべての宿泊施設に当てはまる正解はありません。

・何に困っているのか、課題を感じているのか

・どこまで人が関与したいのか

・どのような考え方で価格を決めていきたいのか

これらを整理したうえで選択すれば、RMS導入で大きくつまずく可能性は下げられます。

RMSはあくまで、自社のレベニュー戦略を実現するための手段です。

まずは考え方を整え、自分たちの施設に合った選択肢を見つけていくことが重要と言えるでしょう。

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